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【2025.1.29 GIR公開セミナー報告】Dr. Arif Behic Tekin “Smart Agriculture with Variable Rate Irrigation in Arid Zone”

イベント報告
2025.3.4

◆講演者:Dr. Arif Behic Tekin (トルコ、エーゲ大学、教授)
◆講演タイトル:”Smart Agriculture with Variable Rate Irrigation in Arid Zone”
◆日時:2025年1月29日(木)(13:00~16:00)
◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 2号館 2階 2-22講義室、Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:グローバルイノベーション研究院・農学研究院 加藤 亮(グローバルイノベーション研究院 食料分野 加藤チーム
開催案内
◆参加人数:20人

講演概要

トルコエーゲ大学のテキン教授に,スマート農業に関する講義を依頼した。講義内容は,スマート農業の実現を通じて,水利用効率の向上,労働時間の短縮,農業生産の品質向上の可能性を論じたものである。

特に,灌漑については地球規模での食料需要の増加から,地球規模で水資源の6割以上を使用している農業セクターでの水利用効率の向上が極めて重要であることを指摘し,灌漑用水量の削減のため,リアルタイムの土壌水分センサーやドローンによる作物の蒸発散推定等の技術開発と,そのデータ解析に基づく灌漑用水量の制御システムに関する技術開発の概要が講義の中で紹介された。灌漑用水量の制御システムの一例として,開発中のVariable Rate Irrigationシステム(可変型灌漑システム)の説明があり,スプリンクラー灌漑を例に,灌漑水量を土壌データや栽培データから必要水量を推定し,水量を場所ごとに制御するという内容であった。機械的な部分は実現しており,現在はデータに基づくアルゴリズム開発が行われている。本研究チームが取得したデータから,そのアルゴリズムの基礎的な部分の構築が期待でき,共同研究が前進していることが講義の中で報告された。

なお,講義にあわせて日本の印旛沼の灌漑管理について現地調査をテキン先生と共に行った。印旛沼では,水田の水管理をポンプの挙動に依存しており,ポンプの制御次第で,水利用効率が異なる状況にある。また,印旛沼は水環境が課題であり,水質改善に向けた農業用水管理が要求されているが,どのようなポンプの挙動が水質に影響を与えるかについては,いまだ不明である。現時点で,1時間間の水質データ,流量データをモニタリングしデータベース化しているが,そのデータベースがある程度構築されたところで,スマート農業の実装が可能になると考えられる。その際のポンプの挙動のアルゴリズム開発についても,相互に議論し,今後の共同研究の課題として扱うこととした。

テキン先生を招聘した講義は,以上から非常に実り多い内容であり,修士課程,博士課程の学生も大きな刺激を受け,また実際の論文指導も受け,研究の進捗が実感できた内容であった。

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