メニュー

トピックス

【2024.12.19 GIR公開セミナー報告】Dr. Yoshifumi Itoh “A very ordinal phenomena have a reason – Crucial molecular coordination in cell biology”

イベント報告
2024.12.24

◆講演者:Dr. Yoshifumi Itoh (英国、オックスフォード大学、准教授)
◆講演タイトル:”A very ordinal phenomena have a reason – Crucial molecular coordination in cell biology”
◆日時:2024年12月19日(木) (16:00~17:00)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 8号館 3階 L0831講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:グローバルイノベーション研究院・工学研究院 稲田 全規(グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 稲田チーム
開催案内
◆参加人数:28人

講演概要

GIR稲田研究チームでは、コラーゲンの分解・代謝に基づく疾患治療分子の開発を進めている。本セミナーでは共同研究者であるオックスフォード大学Kennedy Institute of Rheumatologyの伊藤義文先生にお越しいただき、膜型マトリックスメタロプロテアーゼ1(MT1-MMP)の細胞内輸送メカニズムや細胞運動を制御するWASP and WASP-family verprolin-homologous protein (WAVE)に関する最新の知見についてご教授頂いた。

がん細胞の浸潤は、基底膜の破壊や間質の細胞外マトリックス (ECM) の分解を行い、血管やリンパ管に侵入するプロセスである。マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) の1つであるMT1-MMPは、細胞膜表面に局在してECMを分解することで、細胞浸潤を制御する酵素である。Kinesin superfamily motors (KIFs) は微小管と結合して細胞内輸送を行うモータータンパクであり、ヒトでは45種類確認されている。KIFはMT1-MMPを細胞膜表面へ小胞輸送することが知られていたが、どのKIFが関与しているかは不明であった。伊藤先生はスクリーニングおよび機能評価を行った結果、KIF3A、KIF9A、KIF13Aが小胞輸送に関与していることを発見し、それぞれのKIFの異なるMT1-MMPの小胞輸送メカニズムについてご説明いただいた。蛍光タンパクを用いた小胞輸送のライブイメージングや、アダプター分子の探索に用いたBioID2技術といった尖端技術は多くの関心を集めた。また、細胞運動を制御するWAVEの生物学的意義についても紹介していただいた。WAVE1は微小管構造の制御を介してMT1-MMPの細胞表面への輸送に関与しているだけでなく、細胞遊走や細胞浸潤の促進機能や、T細胞の活性化に重要な構造である免疫シナプスの形成への関与など、細胞における幅広いプロセスを制御する重要な因子であることをご説明いただいた。

この公開セミナーには数多くの学生や教員が参加し、質疑応答では活発な議論が行われ、非常に有意義なセミナーとなった。

このページの上部へ