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◆講演者:Dr. Xiangbing Zeng (英国、シェフィールド大学、上級講師)
◆講演タイトル:”How Do You Make a Gyroid Chiral?”
◆日時:2024年11月18日(月)(10:30~12:00)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 12号館 1階 L1212講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:グローバルイノベーション研究院・工学研究院 一川 尚広(グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 富永 チーム)
◆開催案内
◆参加人数:約30人
講演概要
双連続キュービック液晶は、格子長が数nmサイズのジャイロイド構造を自発的(自己組織的)に形成するため、ナノ構造材料として注目を集め始めている。Zeng博士は、液晶のような動的なソフトマテリアルが形成する自己組織化構造に対して最先端の構造解析技術を構築してこられた研究者であり、双連続キュービック液晶についても独自の研究を推進されてきた。今回の講演では、“How Do You Make a Gyroid Chiral?”というタイトルで講演をしてくださった。
双連続キュービック液晶が形成するジャイロイド構造は、通常、反対のキラリティを持つ 2 つの相互貫入ネットワーク構造から成り立っている。このネットワーク構造は三分岐構造が70°ずつ右または左に捩じれながら接続されて出来上がった構造であり、全体としてはアキラルである。近年、Zeng博士らは、ある種のキラルな液晶化合物もジャイロイド構造を形成することを見出した。本発表でZeng博士は、如何にしてキラルな化合物がキラルなジャイロイド構造を形成するのかについて概説された。ある種の棒状分子のメソゲン部位にキラル中心を持つ液晶化合物は、三分岐構造が70°ずつ捩じれたネットワークを作るのと同時に、–110°ずつ捩じれたネットワークを作ることで、キラルジャイロイド構造を生み出しているということを御説明された。このような現象が起こるためには、キラル部位の配座の違いによる分子の立体構造が重要であることを御説明された。また、このキラルジャイロイド構造は、準安定相であり高エントロピーかつ高熱容量といった特徴を持つことも御説明された。動的な素材である液晶が生み出す分子集合構造を制御する上で、キラルの重要性を改めて強く感じさせる御発表であった。
講演後、ジャイロイド構造の機能や形成メカニズムなどに焦点を当てた質疑応答を行った。高分子膜やソフトアテリアルの更なる発展を目指す上で、このような精密な分子配列制御技術の重要性を強く感じた。GIR富永チームで進めている『次世代グリーンエネルギーデバイスに貢献する機能性有機・高分子材料の開発』においても、このようなナノ構造解析技術・分子配列技術を組み込んでいくことで、革新的な進展を期待できると感じた。今後、今回のZeng博士との議論を基盤として共同研究を進め、このような角度からの研究進展を目指していく。
写真:左は講演前のZeng博士、右は講演後の会場での写真
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