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◆講演者: Dr. Aymerick Eudes (米国、ローレンスバークレー 国立研究所、キャリアサイエンティスト)
◆講演タイトル:”Engineering crops for a sustainable bioeconomy”
◆日時:2024年9月3日(火)16:00~18:00
◆会場:Zoom およびBASE 学府長室
◆言語:英語
◆開催担当者:農学研究院 梶田 真也 教授(グローバルイノベーション研究院 食料分野 梶田チーム)
◆開催案内
◆参加人数:23人
講演概要
Aymerick Eudes 博士をお迎えして、標記タイトルのセミナーを実施した。Eudes 博士博士は、バイオエネルギー生産用の植物の分子育種に関する研究に長年携わっており、今年のセミナーでは2 つのトピックについてお話いただいた。
1 つ目は、アミノ酸合成やDNA のメチル化に使われるメチル基の供給に関わるS-アデノシルメチオニンの含有量低下に寄与するS-アデノシルメチオニンヒドロラーゼの遺伝子を維管束で特異的に高発現させた遺伝子組換え植物に関するものであった。同遺伝子を導入したシロイヌナズナやソルガムでは、維管束の細胞壁に蓄積するリグニン量が低下し、それに伴い細胞壁の酵素糖化性の向上が確認された。カリフォルニアの異なる2 地点で野外栽培されたソルガムは、いずれの場所でも野生型個体に比較して生育が阻害されものの、貧栄養の土壌での栽培では阻害程度が軽減された。また、メタボロームやトランスクリプトーム解析の結果は、同遺伝子の導入が一次代謝や二次代謝に広く影響を与えることを示していた。
2 つめのトピックは、バクテリアに由来するQsuB 遺伝子に関するものであった。この遺伝子は、植物のプラスチド内で作られる3-デヒドロシキミ酸をプロトカテク酸に変換する酵素をコードしている。この遺伝子を強制的に発現させた植物は、驚くことに生育が促進された。また、リグニン含有量が低下し、それに伴って細胞壁残渣の糖化性が向上した。単離したリグニンをNMR を使って詳しく構造分析した結果、プロトカテク酸がリグニンの主鎖に取り込まれていることが明らかになった。現在、得られた小型のソルガムと更に大きく育つ別のソルガムの品種を掛け合せて、バイオマス生産性と細胞壁の加工性に優れた新品種の開発を進めているとのことであった。講演後はZoom 聴講者から多数の質問があり、またオンサイトで参加した学生との活発な議論も行われた。
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