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【2023.12.20 GIRオンラインセミナー報告】Dr. Kartik Chandran “Production and emission of nitrous oxide during microbial nitrogen cycling”

イベント報告
2024.2.19

◆講演者:Dr. Kartik Chandran (米国、コロンビア大学、教授)
◆講演タイトル: “Production and emission of nitrous oxide during microbial nitrogen cycling”
◆日時:2023年12月20日(水) 10:00~11:30
◆会場:Zoom+オンサイト(小金井キャンパス新1号館グリーンホール)
◆言語:英語
◆開催担当者:寺田 昭彦 教授(グローバルイノベーション研究院 栄養塩マネジメント学拠点
開催案内
◆参加人数: 62(オンサイト45名、オンライン17名)人

講演概要

 本公開セミナーでは、コロンビア大学のKartik Chandran教授をオンラインで招聘し、地球環境問題として広く認知されている窒素汚染の負荷削減技術の開発と、窒素除去の過程で発生する第3の温室効果ガス、亜酸化窒素(N2O)の削減に向けた研究動向について講演を開催した。N2OはCO2の約300倍の地球温暖化係数を有することから、排水処理施設や産業プロセスでの削減が日本を含め全世界で強く求められている。Chandan教授は、排水処理施設からのN2O排出の正確な評価に向け、10数年前から世界に先駆けて研究を行ってきている。講演では、人間の生活様態に基づいて刻々と流入量や窒素負荷が変動する生活排水処理施設でのN2O生成のダイナミクスの結果をご提示され、精緻に測定できる方法の確立、および標準化に関する成果をご説明頂いた。さらに、N2Oの生成機構はアンモニアを酸化する細菌群であるアンモニア酸化細菌の様々な代謝反応が寄与することが分かっており、その代謝やそれに付随する電子伝達のメカニズムについて、ご講義頂いた。アンモニア酸化細菌は独立栄養性の微生物であり、炭酸塩などの無機炭素を利用して有機物を合成する。本講演では、最先端のオミックス解析を通し、無機炭素を起点に細胞を合成していく一連の代謝経路に関してもご紹介頂いた。講演後の質疑応答では、多くの教員や学生から質問があり、Chandran教授の丁寧かつ真摯なご説明もあり、予定時刻を超過しても議論が白熱したのが印象的であった。今回、Chandran教授は来学する日程がなく、オンラインでご講演される一方、議論の場を1つにして会場内の聴衆が相互理解できる機会を設けるべく、教室に集まる形で講演を行った。質疑応答において、質問とディスカッションをバーチャル空間でなく、会場で行うことで、場に緊張感が生まれると共に、ディスカッションに集中できた、との意見が多く、開催方式の有用性を感じることが出来た。Chandran教授は次年度の来日を検討しており、次回以降の交流が楽しみない公開セミナーとなった。

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