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◆講演者:Dr. Badal Bhattacharyya (インド、アッサム農業大学、教授)
◆講演タイトル: “Edible Insects and Entomophagy for Rural Livelihood and Nutritional Security”
◆講演者:Dr. Sahidur Rahman (インド、アッサム農業大学、プリンシパル・サイエンティスト)
◆講演タイトル:”Mite Pests of Fruits and Vegetables and Their Integrated Management “
◆日時:2023年10月13日(金) 16:00~17:00
◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 2号館 1階 多目的講義室、Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:鈴木 丈詞 准教授(グローバルイノベーション研究院 食料分野 福原チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 30名(内,オンライン18名)
講演概要
アッサム農業大学(Assam Agricultural University, AAU)のBadal Bhattacharyya先生およびSahidur Rahman先生をお迎えして,GIR公開セミナーを開催した.
Bhattacharyya先生(写真上)はアッサム州のマジュリ島におけるコガネムシ(Lepidiota mansueta)の防除と食材としての利用について講演された.本種はマジュリ島の特有種であり,幼虫は地中に高密度で存在し,様々な農作物を食害する.本種による農作物の被害は極めて深刻である.一方,成虫は摂食せず,特定の時期に大量に地上に現れる.地表に現れた成虫は手でも簡単に捕獲でき,また日本から導入された誘殺灯装置も有効に機能している.手による採集が可能なことから,当地では,本種の捕獲のコンペティションが開催され,AAUのメンバーによって,3時間で73,700頭ものコガネムシが採集された結果は,インド国内でも最多記録として,India Book of Recordsに登録されている.また,本種も含め,様々な食用昆虫における栄養成分やハザード因子の分析も精力的に進め,安全かつ健康的な食材としての科学的根拠も発信されている.さらに,より食材としての魅力を発信するために,美味しい調理法も開発し,そのレシピを共有されている.これらのBhattacharyya先生の活動は,マジュリ島の害虫防除だけでなく,昆虫食を基盤としたツーリズムの活性化にもつながり,昆虫を通して,現地の小農の待遇改善に寄与されている取り組みを学ぶことができた.
Rahman先生(写真下)は植物ダニ学をご専門とされ,まず,ダニの形態学,分類学および生態学的特徴についてご講演された.そして,アッサム州における農作物の害虫としてのダニ類について,その被害や防除方法,特に,化学合成農薬依存から脱却するための物理的,生物的および耕種的手法を取り入れた総合的害虫防除の実践的な取り組みについて紹介された.また,アッサム州の特産物であるチャの害虫について,複数の重要なハダニ種の生態と,それらに対する防除方法について詳細にご説明された.
以上,普段日本では触れる機会の少ないインドの昆虫食や植物ダニ学に関して,Bhattacharyya先生とRahman先生は,それぞれのご研究を詳細にご紹介してくださった.会場からは質問が相次ぎ,講演後も参加者から個別質問が続くなど,熱心な議論が交わされる有意義なセミナーであった.
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