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◆Dr. James Friend (米国、カリフォルニア大学サンディエゴ校、教授)
◆講演タイトル:”Acoustic streaming: from fundamentals to clinical and commercial value”
◆日時:2023年9月1日(金) 13:00~14:30
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 6号館 5階 501南セミナー室
◆言語:英語
◆開催担当者:倉科 佑太 准教授 (グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 田川チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 24名
講演概要
James Friend先生をお迎えして,GIR公開セミナーを開催した.Friend先生は、音響流を専門とし,UCSDのDepartment of Mechanical and Aerospace EngineeringとDepartment of Surgeryを兼任され,IEEE the Carl Hellmuth Hertz mid-career award の受賞やRoyal Society of ChemistryのFellowに就任されるなどの活動から超音波分野のトップリーダーの1人である.
今回のセミナーではFriend先生が構築した音響流の理論の紹介から,音響流を使った細胞の遺伝子操作まで,Friend先生が幅広く進められている研究について解説いただいた.Friend先生は音響流を発生するデバイスとして表面弾性波(SAW)デバイスを微細加工により製作している.SAWデバイスはリチウムナイオベート基盤上にくし歯状電極をマイクロサイズで蒸着することで,MHz帯の超音波を発生することができる.この超音波を溶液中で照射すると,流れが発生する.この流れの理論は従来から構築されていたが,SAWデバイスから発生する音響流の理論については,詳細は明らかとされていなかった.この理論についてFriend先生は膨大な理論式から影響を及ぼす物理量について明らかとし,これを使った理論を構築した.さらに,この音響流を用いて細胞に存在するイオンチャネルを刺激することで,遺伝子発現を促して細胞を操作する技術であるソノジェネティクスを構築したことについても説明いただいた.ホログラフィック顕微鏡を構築し,細胞に照射した超音波により細胞がどのように振動するかを解析するといった試みからマウスへのin vivo試験まで網羅的な研究成果を発表いただいた.超音波により生体の外側から細胞に命令を送れることから,アルツハイマーなどの脳の病気や神経麻痺の根治につながら新たな技術の可能性について,ジョークも交えながら講演いただいた.
夏休みの期間にもかかわらず,多くの教員・学生が参加した.公演終了後には聴衆から多数の質問があり,動画を使ったわかりやすい発表から,学生からも質問が出るなど,活発な議論が展開された.このように,教員だけではなく,多くの学生に刺激を与える非常に有意義なセミナーであった.
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