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◆Dr. Ikuo Masuho (米国、Sanford Research、Assistant Scientist)
講演タイトル: “Stick-slip Dynamics for Unsteady Wetting on Soft Solids”
◆Dr. Hiroaki Matsunam (米国、デューク大学 School of Medicine、教授)
講演タイトル: “How do odorant receptors recognize odorants?”
◆日時:2023年8月1日(火)15:00~17:10
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 11号館 5階 L1153講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:福谷 洋介 教授(グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 福谷チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 30名
講演概要
Duke大学医学部のHiroaki Matsunami先生、Sunford researchのIkuo Masuho先生をお招きし、GIR公開セミナーを開催した。
Masuho先生は、独自に開発された3量体Gタンパク質を用いたGタンパク質共役型受容体(GPCR)の評価系により、生化学的に細胞のセンサーであるGタンパク質共役型受容体の活性プロファイルに関して、その実験手法の基礎から最新の研究についてご紹介いただいた。GPCRは結合するリガンドによってその立体構造変化に違いが生まれ、細胞内で共役する3量体Gタンパク質の親和性が変わることや、その立体構造の変化はリガンドと結合するGPCRのアミノ酸の違いによって引き起こされていることを実験結果とビッグデータ解析を組み合わせて解析された。すでに論文発表されているデータに加えて、投稿前の最新のデータなどもお示しいただいた。遺伝子の個人差による病気の治療について、GPCRの機能性の違いとGタンパク質の選択性の違いを指標にして、患者の遺伝子から適した薬を選択することができるというテーラーメード医療につながる大変興味深い内容であった。
Matsunami先生は哺乳類の化学受容、特に嗅覚を専門とされている。今回のセミナーでは、数百種類ある哺乳類の嗅覚受容体が、無数にあるニオイ分子の中のうちどのニオイ分子に応答するかについて、最近Nature誌に発表された嗅覚受容体のカルボン酸に対する活性化機構について紹介いただいた。
世界で初めてクライオ電子顕微鏡構造解析によって解明されたOR51E2は鼻だけでなく臓器にも発現している嗅覚受容体であることから、立体構造の安定性も高く解析に成功したこと。OR51E2のアゴニストであるカルボン酸は、予想していた位置よりも細胞外側に配置していたという嗅覚受容体のニオイ分子の結合についての詳細な仕組みをご紹介いただいた。後半では、OR51E2以外の新規の嗅覚受容体の匂い分子応答機構に関して、嗅覚受容体タンパク質の合成量を増やす手法やOR1A1についての構造解析に関する最新のデータについてもご紹介いただいた。
公演終了後には聴衆からの多くの質問があり非常に有意義なセミナーであった
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