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◆Dr. Roy C. Sidle (キルギス、中央アジア大学、客員講師)
◆講演タイトル: “Using Remote Sensing in Mountain Hazard Assessment: Examples from the Pamir”
◆日時:2023年6月6日(火)
◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 農学部 本館2階 22講義室、Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:斎藤 広隆 教授(グローバルイノベーション研究院 食料分野 福田チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 13名(うちオンライン5名)
講演概要
中央アジア大学教授Roy Sidle博士をお迎えして,GIRセミナーを開催した.「Using remote sensing in mountain hazard assessment: examples from the Pamir」というタイトルで,リモートセンシング技術を使い,中央アジア大学が位置し「世界の屋根」とよばれるパミール山岳地帯の自然災害の評価について講演していただいた.リモートセンシングには衛星から地上のカメラを用いたデータまでを含めて様々な解像度やスケールがあるが,データの質は近年大変向上し,衛星であれば繰り返しデータを取れるため,災害の頻度など山岳地帯における災害の評価に極めて重要なデータを供給しているとのことであった.
講演では,パミール山岳地帯において大きな被害を引き起こしている雪崩災害に着目して,雪崩頻度推定に関する研究成果について話をしていただいた.地域での過去33年間の地球観測衛星ランドサットのデータを用い,大規模な雪崩堆積物に着目した解析についての説明があった.また,リモートセンシングを用いた地滑りや土石流の評価や予測について,初期の動きやゆっくりとした地滑りであれば,リアルタイム近い形でのモニタリングが可能であるとした.一方で,リモートセンシングデータから地滑り地点を自動的に見つけることは難しく,リモートセンシングデータを使って手作業でデジタル化したとのことであった.その結果わかったこととしては,早い地滑りは南北斜面で発生し,遅い地滑りは東西斜面で起こること,地域の三割を超える村においては,地滑りの高リスク地帯であるとのことであった.
リモートセンシングを使うことで,雪崩や土砂災害ついて,広範囲で頻度や高リスク地点が分かってきた一方で,パミール山岳地帯では農地や宅地に適した土地の不足により,多くの地域では土石流等のリスクの高い土石流,洪水,氷河によって形成された扇状地に農地を作り,住宅を構えており,何らかの対応が必要とのことであった.最後に,凍土の融解について,夏期の流出に与える影響は不明であるが,地滑りや地盤沈下に強く結び付いており,凍土融解の理解について,今後の研究のさらなる必要性について説明があった.講演終了後に参加者からの質疑がありセミナーは終了した.
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