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◆Dr. Kwek-Tze Tan (米国、アクロン大学、准教授)
◆講演タイトル: “Bioinspired Structures and Materials: Design, Performance and Characterization”
◆日時:2023年4月10日(月)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 9号館5階 505会議室
◆言語:英語
◆開催担当者:小笠原 俊夫 教授(グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 ポンサトーン・ラクシンチャラーンサク チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 18名
講演概要
Kwek-Tze Tan先生をお迎えして、GIR公開セミナーを開催した。Tan先生は、材料力学を専門とされており、先進複合材料や、メタマテリアル、バイオミメティック材料などの研究分野における米国の新進気鋭の研究者である。本講演では、Tan先生が進めているバイオミメティック材料に関する最新の研究成果が報告された。
バイオミメティック材料の研究例として、はじめに、ハリネズミ(Hedgehog)のハリ(Spines)を模擬したチューブ構造の3Dプリンタによる試作と実験的評価、および数値解析に関する研究紹介があった。特有の断面構造を有するハリネズミのハリは、単位体積あたりの曲げ剛性が高いこと、そのため衝撃吸収特性に優れることが示された。その優れた衝撃吸収特性を生かして、アメフト用ヘルメット内層材への適用を検討しているとのことであった。
引き続き、ヤモリの指先(Gecko finger)において特徴的な波状パターンを、CFRPとTi合金の接着継手に適用した研究例が紹介された。高じん性および低じん性の接着材を、ハニカムもしくは波状パターンに交互に塗布することによって、接着継手の破壊エネルギーを制御可能であることをシミュレーションによって実証した。この手法は、特に低温度域でじん性に優れた接着構造を実現する上において効果的である。最後に、馬の蹄(Horse hoof)を模した微視的なセル構造によるき裂進展エネルギーの制御に関する話題提供がなされた。弾性率や破断ひずみの異なる2種類の樹脂からなる馬の蹄を模したジグザグ構造により、き裂の進展経路を制御可能であることを、3Dプリンタによって試作したモデル材料によって実証した研究である。
講演会最後には大学院生から多数の質問があり、教員のみならず多くの学生に刺激を与える非常に有意義なセミナーであった。
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