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◆Dr. Xinmin Zhan (アイルランド、アイルランド国立大学ゴールウェイ 、教授)
◆講演タイトル: “Farm-scale anaerobic digestion for producing biogas from agricultural wastes: economic and environmental considerations”
◆日時:2023年2月10日(金)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 13号館 3階 L1331、Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:寺田 昭彦教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 寺田ユニット)
◆開催案内
◆参加人数: 24名(うちオンライン11名)
講演概要
畜産業から廃棄される排水は高濃度に有機物・窒素・リンを含んでいる。これらの排水の水環境への流出は富栄養化の原因となるため、その適切なマネジメントが必要不可欠である。一方で、資源回収に乏しい廃水処理技術においてバイオガスや有価物といった価値の高い物質をできる限り回収することが求められている。
アイルランド国立大学ゴールウェイのXinmin Zhan教授は、畜舎廃棄物からバイオガスを回収する技術開発および社会実装において世界を先導している研究者である。今回のGIRセミナーでは、ヨーロッパの大型グラントを経て実施されてきた畜舎廃棄物からのバイオガス回収技術である嫌気性発酵の技術紹介と研究成果の紹介を行って頂いた。この嫌気性発酵技術のキーは、カスケードで高分子化合物がメタンガスに変換されている微生物反応を円滑進めることである。途中で生成するプロピオン酸やアンモニアなどの生成物がメタンを生成する微生物反応を阻害することがあるため、緩和する運転管理手法、抜本的な技術開発が求められている。Zhan教授らのグループでは特にプロピオン酸をはじめとする揮発性有機脂肪酸濃度上昇に伴いメタン発酵の阻害が起こる現象に対しては、食品残渣などの廃棄物を混ぜ合わせる共発酵が非常に重要であることを示している。畜産業と食品製造業から発生する廃棄物を混ぜることにより、メタン発酵のボトルネックを回避できる可能性があることを論理的に紹介された。
また、Zhan教授はこの結果を社会実装するためのシステム論的解析を通し、社会実装に向けた問題抽出をわかりやすく説明された。微生物やシステム工学といった分野横断の大型プロジェクトを牽引される上での重要なエッセンスもご紹介され、講演後の質疑応答時間では時間を超過するほどの質問が挙がり、白熱した議論が行われたことが印象的であった。
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