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◆Dr. Aymerick Eudes (米国、ローレンスバークレー 国立研究所、ダイレクター)
◆講演タイトル: “Engineering crops for a sustainable bioeconomy”
◆日時:2023年2月27日(月)
◆会場:Zoom、小金井キャンパス BASE本館 3階 会議室
◆言語:英語
◆開催担当者:梶田 真也 教授 (グローバルイノベーション研究院 食料分野 梶田真也ユニット)
◆開催案内
◆参加人数: 28名
講演概要
ローレンスバークレー 国立研究所および同研究所が参画する米国エネルギー省所轄のJoint BioEnergy Instituteに所属するEudes博士をお招きして対面、オンラインのハイブリット形式によるセミナーを実施した。近年、生物を材料とするバイオエネルギー、バイオ化学、バイオマテリアルの生産に対する関心の高まりから、原料となる植物の細胞壁、即ちリグノセルロースの組成を種々の方法で最適化するための新たな取り組みが世界的に実施されています。植物バイオマスは、通常、多糖類とリグニンから構成されており、バイオ燃料やバイオ製品の生産に必要な発酵性糖類や芳香族化合物の供給源となるものです。リグニンは剛直で、疎水性の高い性質を持つため、植物にとって重要な役割を担っている一方で、リグノセルロース系バイオマスをバイオエネルギー用途に利用する際の障害にもなっています。Eudes博士らは、植物細胞壁に蓄積するリグニンを減らし、分子内の単位組成を改変することで、酵素分解に対するバイオマスの難解性を低減する遺伝子工学的な手法を開発してきました。これらのアプローチは、合成生物学の知見を応用し、リグニンモノマーの合成に関与するシキミ酸経路やフェニルプロパノイド経路を操作することを目的として行われました。さらに、これらの代謝経路を利用して、プラットフォームケミカルやポリマー前駆体(プロトカテキュ酸、4-ヒドロキシ安息香酸、ムコン酸、2-ピロン-4,6-ジカルボン酸、ベータケトアジピン酸など)といった価値ある種々の化合物を植物体内で生産させることを可能にしました。講演では、リグニン生合成に関する最新の知見を紹介するとともに、モデル植物(シロイヌナズナ、タバコ)およびバイオエネルギー専用作物(スイッチグラス、ソルガム、ポプラ)において、高度バイオ製品への転換とバイオマスの価値向上を両立させるために開発した代謝工学的アプローチを詳細に説明して頂きました。
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