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◆講演者:Dr. Peter Kitin(米国、アメリカ合衆国農務省 、サイエンティスト)
◆講演タイトル:“Adaptation strategies of trees to changing environment – case studies on the anatomy and physiology of the Rhizophoraceae mangrove family.”
◆日時:2022年12月27日(火)
◆会場:東京農工大学 府中キャンパス1号館11教室、Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:半 智史 准教授 (グローバルイノベーション研究院 食料分野 半チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 35名
講演概要
食料分野半グループでは、Peter Kitin先生(Forest Products Laboratory, U.S.A.)をお迎えして、公開セミナーを開催した。Kitin先生は木材解剖学および樹木生理学の分野で最もアクティビティの高い研究者の一人であり、様々な顕微鏡を用いた観察手法に精通している。今回は「Adaptation strategies of trees to changing environment – case studies on the anatomy and physiology of the Rhizophoraceae mangrove family」というタイトルでご講演いただいた。公開セミナーには、木材解剖学、樹木生理学、細胞生物学、セルロース科学、バイオマス化学、環境資源科学に関連する教員、研究者や学生が参加した。オンラインでも配信したため、GIRメンバーである海外研究者のWidyanto Dwi Nugroho先生、Jong Sik Kim先生にも参加いただいたことに加えて、多くの学外の研究者がセミナーに参加していたため、本学GIRでの活動を学外にアピールすることにも繋がった。
セミナーの前半では、マングローブが根において塩を濾過するメカニズムについて紹介があり、マングローブの中でもいくつかの種の根の解剖学的な特徴について、共焦点レーザ走査顕微鏡やクライオ走査電子顕微鏡などによって解析した最先端の研究成果を紹介いただいた。これらのレーザ顕微鏡や電子顕微鏡、低温での顕微鏡観察を組み合わせた手法は、我々が進めている木質バイオマスの特性評価手法として用いることができるだけでなく、これらの手法を通して明らかにした植物組織の構造と機能との関係は、生物の構造を模倣して新規材料を創出するバイオミメティクスにも応用できる可能性があるため非常に有用であり、今後の継続的な国際共同研究の遂行を含め、研究のさらなる発展が期待できる内容であった。
セミナーの後半では、樹皮における光の透過性の話題が紹介された。まだほとんど研究がされていない研究トピックであるが、いくつかの予備的な研究成果を紹介いただいた。樹皮を光が透過することの生理学的な意味はまだ十分に理解されていないところであるが、樹木が葉を通してのみではなく、幹で直接光を需要することは樹木生理学において非常に興味深い現象であり、さらには光刺激による発根誘導の話題を通じて応用の可能性が十分にあることも紹介された。
質疑応答の時間では、これらの興味深い研究成果や研究手法について活発な議論が行われた。セミナーには学生も参加しており、本学の学生にも刺激を与えることができ、教育面においても意義深いセミナーとなったといえる。
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