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◆Dr. Takemasa Miyoshi(三好 建正) (日本、理化学研究所 計算科学研究センター データ同化研究チーム、チームリーダー)(兼務:数理創造プログラム (iTHEMS) 副プログラムディレクター)
◆講演タイトル: “ビッグデータ同化(Big Data Assimilation)ーゲリラ豪雨予測から予測科学へー From Guerrilla Rainstorm Prediction to Predictive Science”
◆日時:2022年10月14日(金)
◆会場:府中キャンパス府中第一講義棟16番教室 (Lecture hall 1-16)
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◆言語:日本語
◆開催担当者:斎藤 広隆 教授 (グローバルイノベーション研究院 食料分野 斎藤広隆ユニット)
◆開催案内
◆参加人数: 50名
講演概要
理化学研究所計算機科学研究機構データ同化研究チームリーダーの三好健正先生をお迎えし,GIRセミナーを開催した.三好先生は気象学分野で,データ同化手法を用いた気象予測に関する研究に取り組まれており,ムーンショット型研究開発制度の目標8のプログラムディレクターを務めるなど様々な要職にも就いている,日本を代表するトップサイエンティストの一人である.本セミナーでは,観測データとモデル計算とを組み合わせ,理化学研究所のスーパーコンピューター富岳を用いてこれまで予測が困難であったゲリラ豪雨の発生をより正確に予測できるようになったデータ同化手法の開発など,三好先生の取り組まれている研究について講演していただいた.
これまでの気象予報は一日三回で時間間隔が広く,短時間に急激に発達する積乱雲に起因するゲリラ豪雨は予測できなかった.それに対して,観測データを随時取り込んで予測をアップデートするデータ同化手法によって,30秒毎の予測を可能とし,ゲリラ豪雨の予測を可能としたことについて,特に,新しいアレイ型アンテナによる短時間のレーダースキャン観測によるビッグデータとスーパーコンピューターによる数値シミュレーションで生み出されるビッグデータを同化させることについて紹介いただいた.最終的には,30秒以内でデータの処理からデータ同化まで可能となりリアルタイムでの予測が可能となったとのことであった.またセミナーでは,データ同化の基本的な考え方について,モデルと観測の誤差を組み合わせて誤差を小さくし,モデルによる予測を更新すること,また,手に入る観測物理量からモデル内のパラメータを制御変数として最適化あるいは不確実性を低減できることがデータ同化の強みの一つであることなどについて解説いただいた.
また,講演では,現在ではデータ同化手法を利用した制御実験について取り組まれており,初期にわずかな変化を加えることで豪雨や台風を弱めるのではないかということでシミュレーション上では達成できたという最新の成果についても紹介いただいた.また,今後の方向性としてデータ同化とAIとを融合して新しい知見を得ていく「予測科学」の考え方について解説いただいた.講演終了後には,教員のみならず学生も含め聴衆から多くの質問があり,大変活発な議論が行われ,大変有意義なセミナーとなった.
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