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◆Dr. David Kisailus (米国、カリフォルニア大学 アーバイン校、教授)
◆講演タイトル: “The Interface Between Biology and Materials Science: Construction and Destruction of Multiscale Architectures”
◆日時:2022年8月26日(金)
◆会場: Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:新垣 篤史 教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 田中剛ユニット)
◆開催案内
◆参加人数: 32名 (+オンライン3名)
講演概要
令和4年8月26日にDavid Kisailus先生によるGIR公開セミナーを開催した。約1時間お話いただいた後、質疑応答の時間を設けた。
Kisailus先生はカリフォルニア大学アーバイン校に在籍し、材料科学を専門とされている。Kisailus先生の研究室では、生物の持つ有用な構造からヒントを得て工学材料に応用するバイオミメティクスに関連するトピック、及び生物の有するバイオミネラルがどのように形成されどのような機能を持つかを解析するトピックの2つを主に研究されている。また、Kisailus先生の研究室で扱う生物種は多岐にわたっており、Mantis shrimp (シャコ)やIronclad beetle (甲虫)、ヒザラガイなど様々な美しく強靭な構造を持つ生物を研究対象としている。今回のご講演では、主にMantis shrimpの捕脚 (ハンマーのような形状をしており、捕食の際に貝殻を割る目的などで使用される)とヒザラガイの歯 (岩などに生息する藻類を捕食する目的で使用される)の高硬度組織に焦点を当て、ご講演をしていただいた。Mantis shrimpの捕脚は表面がナノ粒子で覆われていることで、衝撃が加わった際のエネルギーを吸収する構造になっており、それらの表面コーティング技術への応用性についてご紹介された。またヒザラガイの歯については、どのような構造を有しているのか、その構成成分は何かについてナノレベルでの解析結果をご紹介いただいた。講演内容は近年Kisailus先生がご出版された影響力の高い最新の論文 (Nature、Science、Nature姉妹紙、Advanced Materials)に沿っており、最先端の材料科学の研究について詳しく知ることができる貴重なセミナーとなった。また、Kisailus先生の講演は聴講者の心をつかむようにしっかりと作りこまれており、その巧みな話術も相まって、多くの学生が内容をしっかりと理解できていた。コロナウイルスの影響によって、対面で参加できる学会が減り、手本となるような講演を聞く機会になかなか恵まれなかった昨今の学生にとっては、今後控えている学会発表や学位論文発表に向けて、多くの刺激を受ける機会となった。さらに、講演中ではサイエンスとは何か、研究がいかに楽しいものかについて、自身の経験に基づいて話される場面もあり、本学において研究に取り組む学生及び大学院生にとって、世界トップレベルの研究者の価値観に触れられる非常に有意義なセミナーとなった。
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