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2022.2.21
◆Dr. Xiangbing Zeng (英国、シェフィールド大学、Department of Materials Science and Engineering、上級講師)
◆講演タイトル:Quasicontinuous melting of model polymer monolayers and direct 3D visualization of spherulites
◆日時:2022年2月18日(金)
◆会場:Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:一川 尚広 准教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 富永チーム)
◆開催案内
◆参加人数: 38名 後日google classroomで配信
講演概要
GIR オンライン公開セミナーを開催し、Xiangbing Zeng 先生に御講演いただいた。
Zeng 先生は、高分子・液晶・準結晶などの構造解析を専門とされており、特にX 線構造解析・中性子散乱測定・TEM 測定・AFM 測定などを駆使した極めて精密なナノ構造解析を得意とする研究者である。今回のセミナーでは、高分子の振る舞いに関する2つのトピックスを御講演くださいました。
前半部は、高分子の融解に関する最先端の御研究を御紹介くださいました。具体的には、極めて長い炭素鎖からなるn-アルカンC390H782 の単分子層を調整し、その融解挙動をAFM によって観察した結果について御説明されました。バルクの融点よりも低温から80℃以上高温までの単分子層の状態をAFM で観察した結果を示された。AFM 測定では、硬さ測定と高さ測定を同時に行った結果を示された。低温時から、C390H782 分子の末端部が柔らかくなり始め、バルクの融点を越えるに従って徐々に鎖の末端から内側に向かって分子鎖が融け始める挙動を御説明された。これらの結果の妥当性を平均場理論とMD シミュレーションを併用し御説明された。以上より、n-アルカンは単分子層状態で存在する時において、『準連続的な融解挙動』を示すことが明らかとなった。この知見は、高分子の熱相転移を精密に理解する上で極めて重要なものである。
後半部では、アモルファス状態の高分子が球晶を形成する際の経時変化を3次元で可視化する技術についてご説明くださいました。特に、適切な色素を高分子内に取り込ませた高分子膜に対する2光子励起顕微鏡による3次元観察結果について御説明され、球晶の核形成メカニズムを深く理解することができた。
講演終了後には、聴衆から『現象の経時変化』や『理論の解釈』・『技術の汎用性』などに関する質問があり、これらについて丁寧に回答してくださいました。講演・質疑応答を通し、高分子の物理現象を理解する上で、実験・理論・シミュレーションの3つの連携が重要であることを改めて感じることができた。9:00~10:30 に渡る長時間のセミナーとなったが、聴講者にとって非常に有意義であった。
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