メニュー
2022.1.4
Dr. Michał Boćkowski (教授, Institute of High Pressure Physics, ポーランド科学アカデミー, ポーランド)
◆日時:2021年12月23日 (木)
◆会場:Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:熊谷 義直 教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 熊谷ユニット)
◆開催案内
◆参加人数: 37名 後日google classroomで配信
講演概要
Polish Academy of Sciences (PAS)のInstitute of High Pressure Physicsに所属するMichał Boćkowski博士を講師としてお招きして公開セミナーを開催した。Boćkowski博士は、超高圧下での結晶成長を専門とし、構成元素の蒸気圧が高く融液が安定に存在せず良質の結晶成長が難しい結晶を高圧下で安定に成長させる研究を実施している。特に最近は、独自のAmmonothermal法により、単結晶窒化ガリウム(GaN)の高品質・大口径ウェハ供給を実現している。GaNは2014年に固体白色光源で赤﨑勇、天野浩、中村修二の3名がノーベル物理学賞を受賞するに至った材料であるが、近年では、大電圧・高周波領域のトランジスター開発用材料としても注目され、高品質・大口径単結晶ウェハの供給が望まれている。
Boćkowski博士とその研究グループは、超高圧下でのGaNの状態を詳細に調べ、2000~4000気圧の液体(超臨界)アンモニア内にGaN原料と種結晶を設置し、350~600℃でGaNを成長させるAmmonothermal法でそれを実現した。特に、塩基性鉱化剤を用いると低温で超臨界アンモニアにGaNが溶解するため、オートクレーブの上部(低温部)にGaN結晶粉末(原料)、下部(高温部)に2インチ径のGaN種結晶を100個程度配置し、70日間の成長で数cm厚の結晶育成を実証した。現在はオートクレーブを12台保有する会社を設立するに至っている。
セミナーでは塩基性Ammonothermal法の原理、歴史、GaN成長例、GaNウェーハ作製と特性、今後の展開について詳細な説明があった。また、作製されたGaNウェーハ上へのGaNの気相成長の結果も紹介され、レーザ、トランジスタ作製に十分使用可能なことが示された。
参加者は37名で、本学の教職員3名、Institute of High Pressure Physicsに所属する研究員2名(Boćkowski博士を除く)、本学の学部生・大学院生が参加した。本学でも、GaNと同じ窒化物結晶である窒化アルミニウム(AlN)のバルク成長、およびAlNウェハ上へのAlN気相成長、GaNと同じGa系結晶であるベータ型酸化ガリウム(β-Ga2O3)ウェハ上へのβ-Ga2O3気相成長が試みられており、発表後、教職員および学生より問題点の類似性や解決方法について多数の質問があり活発な議論がなされ聴衆に刺激を与える非常に有意義なセミナーとなった。
このページの上部へ