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2021.2.2
講演者
Dr. Tsung-Shing Wang (Assistant Professor, Department of Chemistry, National Taiwan University, Taiwan)
◆日時:2021年1月19日(火)
◆会場:Zoom
◆言語:英語
◆開催担当者:櫻井 香里 准教授(グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 篠原チーム)
◆参加人数:30名 後日google classroomで配信
◆開催案内
講演概要
国立台湾大学のWang先生をお迎えして, GIR公開セミナーをオンライン開催した。Wang先生は,2018年度にAsia Core to Core Program (ACP) Lectureship Awardの受賞講演ツアーで本学を訪問されたことがきっかけとなり,今年度はライフサイエンス分野のGIRプログラムに生命工学専攻の黒田先生の連携教員として参加されている。本セミナーは,本学生命工学専攻の大学院講義「生命有機化学特論・生物分子反応特論」の一環としても位置付けて開催した。農・工学部(府)生および教員の方々が参加者として集い、ケミカルバイオロジー手法を駆使した抗菌剤の開発や検出法の開発研究において活躍されているWang先生の研究テーマは異分野の学生・教員の方々からも関心を集めるものだったと思われる。
本セミナーでははじめに、生体直交性が高く、生体分子間を効率かつ選択的に連結する手法として近年飛躍的に発展したクリックケミストリーについて、その歴史的な背景や特筆すべき化学的性質などを含めて専門分野外の参加者にも極めて分かりやすく解説していただいた。Wang先生は、バクテリアが生存のために産生し、宿主から鉄イオンの取り込みを促進する作用を示すシデロフォア類に着目され、これらを基盤とした抗菌剤の合成法やシデロフォアの高機能化におけるデザイン戦略を開発されている。特にシデロフォアの高機能化において、モジュラーな機能を導入するためにクリックケミストリーを活用する方法を考案され、バンコマイシン耐性菌(VRE)など特定の細菌を選択的に検出する方法として応用に成功している。多数の極性官能基と複雑な構造を有する天然物であるシデロフォアにクリックケミストリーを応用するためには、クリック官能基を効率的な導入法が鍵であるが、Wang先生が最近開発されたchemoenzymatic法に基づいた優れた手法についてもご紹介いただいた。
講演後には、特に学生から質問が多数挙がり、予定を超過して活発な議論が交わされ、極めて有意義なセミナーとなった。また,セミナー終了後には,3名の教員がWang先生を囲んでさらに議論を深め、共同研究プロジェクトや学生の短期派遣に関する意見交換を行い、プロジェクトについては初期検討案を立案することができた。
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