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イベント報告

【2020.12.17 GIR公開セミナー報告】 “Host-plant virus protein interactions: Characterizations and knowledge-based considerations for agricultural application”

2021.1.7

講演者 

Dr. Richard S. Nelson (Adjunct Professor, Department of Entomology & Plant Pathology, Oklahoma State University, USA) (Retired Professor & Research Administrator, Noble Research Institute, LLC, USA)

◆日時:2020年12月17日(木)

◆会場:Zoom

◆言語:英語

◆開催担当者:佐々木 信光 准教授(グローバルイノベーション研究院  ライフサイエンス分野 佐々木チーム)

◆参加人数:32名 後日google classroomで配信

開催案内

講演概要

オクラホマ州立大学のRichard Nelson先生と東京大学の橋本将典先生をお迎えし、Zoomを使ったGIRオープンオンラインセミナーを開催した(遺伝子実験施設との共催)。学外からの視聴希望もあり、同時での最多視聴者数は32名であった(入れ替わりがあったため、実際にはもう少し視聴者数は多かったと思われる)。

Nelson先生は、Samuel Roberts Noble Foundationで長年PIとして、顕微鏡を用いた植物ウイルスのイメージング解析や外来遺伝子の導入を目的とした新規ウイルスベクター開発を中心として植物病理学分野で活躍し、米国植物病理学会のウイルス委員会の委員長および多くのジャーナルのエディターやレフェリーを経験されている。現在は、オクラホマ州立大学で客員教授として講義を担当される一方で、多くの論文のレフェリーをこなしている。Nelson先生からは、2020年に報告された論文の内容を中心に、タバコモザイクウイルスの感染に関わる宿主因子の探索・機能解析について、特に液胞タンパク質の役割に注目した新しい植物ウイルス感染モデルを紹介していただいた。また、カリフラワーモザイクウイルスの感染におけるATPシンターゼや葉緑体タンパク質のウイルス感染への影響など、興味深い研究成果についても解説があった。さらにこれらの知見を農業にどのように利用していくのかについて議論していただいた。

橋本先生は、東大植物病理学研究室で植物ウイルスの感染機能について学位を取得された後、ドイツのマックスプランク研究所に留学され、現在は東大の栽培学研究室で新しい研究テーマに取り組まれている。橋本先生には、マックスプランク研究所に留学していた際に確立した植物の根圏微生物叢の解析法とそこから得られた成果について2020年に報告された論文について紹介していただいた。土壌における鉄イオンの多寡が根圏細菌叢の変動に与える影響またそのような細菌叢が植物の生育に与える影響についてゲノミクス・トンスクリプトーム解析法を用いて詳細に解明し、さらに細菌叢をin vitroで再現したSynthetic community (SynCom)を用いて、細菌叢と植物の相互作用に関わる物質としてクマリンを同定するに至った経緯について詳しく解説していただいた。橋本先生には博士課程に進むまでの感じた研究の面白さについてもお話しいただき、博士課程への進学希望者や研究者を志す学生にとって重要な話であった。

セミナー後には非常に活発な質疑応答があり、予定時間を大幅に過ぎて終了するほどであった。セミナー終了後には、招へいした先生方とGIRメンバーとの話し合いの場をもつことができ、今後の研究への取り組み方を確認することができる良い機会となった。コロナ禍において海外から研究者を招へいすることが容易ではない期間が続くことが予想されるため、今後はZoom等のオンライン会議システムを活用してチームの活動を盛り上げていくことが確認できた。

 

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