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2020.2.13
講演者
Dr. Jusef Hassoun (Associate Professor University of Ferrara, Italy)
◆日時:2020年2月6日(木)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 講義棟 1 階 L0014
◆言語:英語
◆開催担当者:富永 洋一 教授 (グローバルイノベーション研究院 エネルギー分野 富永チーム)
◆参加人数: 20名
◆開催案内
講演概要
エネルギー・富永研究チームでは、昨年に引き続きイタリア・フェラーラ大学より Jusef Hassoun 准教授をお迎えして、公開セミナーを開催した。
Hassoun 准教授は、電気化学および材料科学研究の分野における一流論文に多数の掲載がある世界でも非常に優れた研究者である。Hassoun 准教授は現在、Li イオン電池用材料の基礎・応用を中心に精力的に研究を進めており、最近では Li 空気電池や Li 硫黄電池などの次世代高容量蓄電池の研究開発にも注力している。特に、次世代の蓄電池に必要不可欠な電極活物質の材料開発や電池特性評価に関する基礎的および応用研究に多数の実績がある。
本セミナーでは、Alternative Electrolyte Media for Lithium Metal Battery の題目で、参加の学生にも分かりやすいLi イオン二次電池の基礎や構造から講演を始めて頂いた。近い将来に実用化が期待されている Li 金属二次電池を具体例に取り上げ、最近の本学との共同研究成果を中心に最新研究成果の紹介を頂いた。エーテル系有機溶媒のジグライムやトリグライムに様々
な Li 塩を添加した電解液は、従来のカーボネート系有機溶媒を用いる電解液よりも引火性が低く安全性に優れ、電気化学的特性にも優れていることから、近年電池材料として注目されている。今回の共同研究では、グライム系 Li 電解液に LiNO3 を加えることで、電極表面に良好な SEI 被膜を形成し、電池特性を向上させることが初めて明らかとなった。さらに、グライム系電解液で得られた LiNO3 添加効果を高分子電解質に応用した。ポリエーテルにナノサイズの SiO2 を複合化させた Li 電解質について、高分子系では 150 mhA/g を超える優れた放電特性を示すことも分かった。
会場からは、具体的なLi金属電池の実用化におけるポイントについての質問があり、実際は電極/電解質界面の制御が重要であることが説明された。Hassoun先生自ら学生へ質問を問いかけるなど、蓄電池の未来に関して議論が深まる大変興味深い公開セミナーとなった。
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