メニュー
2019.10.22
講演者 Dr.Richard J. Simpson (Distinguished professor, Department of Biochemistry and Genetics, La Trobe University, Australia)
◆日時:2019年10月15日(火)
◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 2号館 多目的講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:天竺桂 弘子準教授 (グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 池袋チーム)
◆参加人数: 40名
◆開催案内
講演概要
Richard J. Simpson先生をお迎えしてGIRセミナーを開催した。Simpson先生は、毎年” Highly Cited Researcher”に選出される分野を牽引する第一人者である。Simpson先生はエキソソーム生物学を専門としており、特に大腸癌を対象としたバイオマーカーの探索に力を注がれている。
本講演では、細胞外小胞の機能と疾病診断への適応の可能性についての最新の研究成果についてご紹介いただいた。はじめに、細胞から放出される小胞である“細胞外小胞”について、その由来や特徴についてご説明いただいた。次に、それらの単離および特性解析に用いる方法をご紹介いただき、疾患における細胞外小胞内に含まれているタンパク質成分がバイオマーカーとして役立ち、それを用いれば癌の進行ステージ診断や、転移の予測が可能なことを概説された。その例として、ヒト大腸がん由来の細胞外小胞は、疾患に特異的なタンパク質とRNA(mRNA、スプライシングバリアントmRNA、miRNA、およびlncRNA)のプロファイルを持っていることや、細胞外小胞により別の組織へそれらが運ばれること(転移・浸潤)を示されました。また、エキソソーム依存性腫瘍間質連絡、前転移性ニッチ形成、上皮間葉移行、および小胞表面タンパク質の網羅的な成分の解析についての研究についても紹介されました。本講演には多数の大学院生および学部3、4年生に加えて、獣医学科の5、6年生が参加し、ノートを取りながら最新の研究成果に聞き入る様子が見られました。また、農学府、工学府の教員や博士課程の学生を中心とし、活発な議論が交わされました。農工大外部からも4名の研究者の参加がありました。講演会が終了した後にも、大学院生がSimpson先生に質問する様子が見られ、本学の大学院生と学部生が、最先端の研究に触れた良い機会となりました。
このページの上部へ