メニュー

イベント報告

【2019.09.18 GIR公開セミナー報告】”Marine Biotechnology: how to commercialise marine science discoveries”

2019.9.25

講演者 Prof. Grant Burgess (Newcastle University, Newcastle, United Kingdom)

◆日時:2019年9月18日(木)

◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス 11号館 L1151教室

◆言語:英語

◆開催担当者:田中 剛 教授 (グローバルイノベーション研究院  エネルギー分野 田中チーム)

◆参加人数: 31名

開催案内

講演概要

令和元年9月18日にGrant Burgess先生によるGIR公開セミナーを開催した。Grant Burgess先生は、細菌や酵母などの微生物が形成する強固な集合体であるバイオフィルムの研究を専門とされている。バイオフィルムが形成されると、その中に存在する微生物に抗生物質が作用しにくくなることが知られており、医療現場などで問題となっている。Burgess先生はバイオフィルムの主要な構成物質に細胞外DNAが含まれていることに着目し、DNA分解酵素によるバイオフィルム除去方法の研究に従事されてきた。その先駆けとして、まず海藻の表面に付着する細菌が生産するDNA分解酵素であるNucBを見出された。次いで大腸菌を用いた遺伝子組み換え発現系を確立し、大量(50~100 mg)の精製度の高いNucBを生産することに成功した。NucBを細菌バイオフィルムに添加したところ、バイオフィルムを除去できることを示した。

さらに、NucBの構造解析などの基礎研究を進める一方で、NucBを実用化するために複数の企業との共同研究を進められている。実際に、NucBが配合された洗濯用洗剤が市販されており、実用化の成功例となっている。NucBの特許についても、2011年に特許申請し、2017年に特許されたプロセスが説明された。本セミナーでは特に、大学での研究を実用化するためのステップとして、Technology readiness level(技術実用化準備レベル)をBasic technology researchからMarket launch and commercializationなどの9段階に分けて考えることを強調された。また、研究と特許、ライセンシングやロイヤリティとの関係についてもお話しされ、これまで特許について馴染みのなかった多くの学生にとって、非常に重要かつ新鮮な話題であった。また、近年、盛んに提唱されている「オープンイノベーション」という用語について解説し、分野を超えた共同研究者と密にコミュニケーションをとりながら研究を推し進めていくことが如何に重要であるかを強調された。

講演の後半では質疑応答の時間が設定され、多くの質問があった。特に各大学での特許の取り扱いの違いについて質問があり、活発な議論や意見交換がなされ、非常に有意義なセミナーとなった。

このページの上部へ