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2019.7.10
講演者 Dr. Antonio Ortega (Professor, University of Southern California, U.S.A.)
◆日時:2019年6月25日(火)
◆会場:東京農工大学 小金井キャンパス BASE本館第1講義室
◆言語:英語
◆開催担当者:田中雄一 准教授 (グローバルイノベーション研究院 ライフサイエンス分野 田中聡久チーム)
◆参加人数: 30名
◆開催案内
講演概要
Antonio Ortega 先生をお迎えしてGIR公開セミナーを開催した.Ortega先生は信号処理・映像処理・機械学習が専門であり,特に近年はネットワーク上のデータに対する信号処理理論であるグラフ信号処理に精力的に取り組んでおられる.グラフ信号処理はここ5年ほど信号処理のホットトピックであり,機械学習分野におけるグラフ深層学習とも深くつながっており,様々な分野から大きく注目を集めている分野である.Ortega先生はIEEE Signal Processing Magazine に掲載された解説論文が Best Paper Award を受賞するなど,本分野における第一人者だと世界的に認識されている.
今回のセミナーでは,グラフ信号処理を利用して機械学習で利用されるデータをグラフを通じて理解するという試みに関して解説頂いた.
トピックの1件目は半教師あり学習に関してであった.機械学習では教師あり学習が広く利用されているが,学習のためには正確なラベル付け(アノテーション)がなされたデータセットが必要である.一方で正確なアノテーションには大きな人的コストが必要であるため,少ないアノテーションから他のアノテーションを推定する手法が必要となる.今回はグラフサンプリング定理を元にしながら,その漸近的な収束に関する理論の紹介が行われた.
2件目は非負カーネル回帰に関するOrtega先生のグループの研究の紹介であった.データからサンプル間の関係をグラフとして表現するにはK近傍法などが用いられるが,近隣頂点数Kを手動で決定しなければならないなど課題が多い,非負カーネル回帰においては,カーネルの拡がりと近隣頂点数を自動的に決定することができ,今後の研究の発展が期待できる.
最後に深層学習に関するトピックをいくつかご紹介いただいた.特にニューラルネットワークにおけるレイヤー数が大きくなってきたときの挙動をグラフ上におけるラベルの滑らかさと結びつけ,効果的にニューラルネットワークを訓練する手法に関する取り組みは非常に興味深いものであった.
講演会最後には聴衆からの質問が多数あり,教員のみならず多くの学生に刺激を与える非常に有意義なセミナーであった.
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