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イベント報告

【2019.06.19 GIR公開セミナー報告】”The interactions between the two-spotted spider mite and its plant hosts”

2019.6.28

講演者 Dr. Vojislava Grbic (Associate Professor, University of Western Ontario, Canada)

◆日時:2019年6月19日(水)

◆会場:東京農工大学 府中キャンパス 2号館 講義室2-22

◆言語:英語

◆開催担当者:鈴木丈詞 特任教授 (グローバルイノベーション研究院 食料分野 梅澤チーム)

◆参加人数: 35名

開催案内

<講演概要>

Vojislava Grbic先生をお迎えして,GIR公開セミナーを開催した.Grbic先生は,世界的に深刻な問題になっている農業害虫のハダニとその宿主植物を対象とし,両者間の相互作用,特に植物防御の分子メカニズム研究の第一人者である.本セミナーには,本学の学生および教職員だけでなく,民間企業,特に農薬メーカーからの研究者の方々も参加され,これは国際共同研究や産学連携を積極的に進められているGrbic先生が,日本の産業界からも注目されていることを示す.
本セミナーでは,まず,ハダニによる農作物の損失や,その食害によって誘導される植物防御の遺伝学的および生化学的背景等,専門分野外の学生にも極めてわかりやすくご説明いただいた.Grbic先生は,ハダニの中で,汎存種であるナミハダニを対象としてご研究されている.ナミハダニ(Tetranychus urticae)は,1000種以上の植物を食害する広食性害虫であり,これは植物防御(特に,二次代謝産物)に対する適応が優れていることを示す.また,農薬抵抗性も発達させやすく,これまでに抵抗性が報告された殺虫成分の数は,昆虫も含めた節足動物の中で最多である.そのため,Grbic先生の研究チームは,ナミハダニの広食性や農薬抵抗性を担う分子たちを,最新のオミクス解析により明らかにし,これら機能を制御する手法を提案されてきた.これら分子は,次世代農薬の標的として注目されている.
また,本セミナーでは,上記以外にも,最新の未発表データや,本学との共同研究の実施状況,さらに民間企業とのコラボレーションも視野に入れた今後の具体的な構想についても,ご紹介いただき,国際共同研究および産学連携のプラットフォームの作り方等,教職員や民間企業の研究者に対しても,極めて有用な情報をご提供いただいた.
講演終了後には,聴衆から質問が多数あり,活発な議論が交わされ,予定よりも長時間で,かつ極めて有意義なセミナーとなった.また,セミナー終了後には,懇親会も開催され,本学の教職員や民間企業の研究員の方も参加し,Grbic先生を囲んでさらに議論を深めることができた.

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